さらざんまいの基本を徹底考察
※当記事はネタバレモリモリで参ります。未視聴の方、自衛してください。
2019年4月11日より放送が開始された『さらざんまい』。
ウテナ、ピングドラム等を製作した幾原邦彦監督の最新作として注目を集める今作。
私も心躍らせながら視聴してみましたが、とにかく意味がわからない。
- そもそも「さらざんまい」って何?
- 「尻子玉を抜く」ってどういうこと?
- 「ア」のモチーフの意味は?
- カワウソイヤァって結局、何?意味はあるの?
などなど、見れば見るほど疑問が増えるばかりで、減ることはありません。
そこで、当記事では、この辺にスポットを当てつつ『さらざんまい』の基本となる「世界観」について、考察を進めていきます。
- そもそも「さらざんまい」って何?
- 「尻子玉を抜く」ってどういうこと?
- 「ア」のモチーフの意味は?
- 標識の回転が「表と裏の世界の移り変わり」を暗示
- カワウソイヤァって結局、何?意味はあるの?
- 【総括】表と裏、二つの世界が影響し合っている!
そもそも「さらざんまい」って何?
タイトルにもなっている「さらざんまい」。
第一皿(第一話)で、一稀たちが尻子玉を手に走りながら「さらざんまいってなんだよ!」と戸惑いを見せています。
ケッピ「尻子玉が溶けきる前に私に転送するですケロ。さらざんまいですケロ」
一稀「さらざんまいってなんだよ!」
「さらざんまい」とは、カッパになった一稀ら3人の誰かが、尻子玉を飲み込んでケッピに転送するという動作を指します。
ケッピが、さらざんまいを「身も心もつながること」と表現する通り、さらざんまいを行うと、尻子玉を飲み込んだ人物(仮に転送者とします)の秘密が漏洩する、という副作用があります。
この辺に関しては「これからこれをやります」と前置きされているため、幾原監督の作品にしてはわかりやすい(?)かな、と。笑
各話で明らかになった秘密
- 第一皿:一稀が女装し、吾妻サラになりすまして「春カッパ」とやり取りしていた。
-
第二皿:春河のために飼い猫を奪い、地域猫にした。
-
第三皿:一稀にキスをする、一稀のリコーダーに口付ける等、燕太の片想いが明らかに。
-
第四皿:悠が兄を追う「由利鴎」を撃ち殺した。
第四皿で殺されたヤクザの方(シノギやシマというワードからヤクザと推測)はエンディングで見たところ「由利鴎」という名前のようです。
(読み方は「ゆりかもめ」でしょうか?笑)
彼の登場シーンには鴎の鳴き声が入るなど、凝った演出がされています。
鴎(カモメ)の名前の通り、彼の登場シーンにはカモメの鳴き声が流れます。細部まで凝ってる。笑#さらざんまい pic.twitter.com/h8UarVFwYG
— team解読 (@team_kaidoku) 2019年5月4日
「尻子玉を抜く」ってどういうこと?
尻子玉は、第一皿で説明されている通り「人間の尻の中にある、欲望エネルギーを蓄積する臓器」です。
一稀たちは、尻子玉を抜かれたことによってカッパになりました。
ちなみに、カッパは「戦士」。(「カパゾンビと戦う者」ということでしょうか?)
尻子玉は「カパゾンビ」と呼ばれる一稀たちにとって敵となる存在の尻から、物理的に抜くことができる球状のものです。
(「物理的に抜く」というのが衝撃的……いえ、今作の見どころです!笑)
つまり「尻子玉を抜く」というのは、人間やカパゾンビの尻から、欲望エネルギーを蓄積していた臓器を抜くという行為を指します。
一稀・悠・燕太「かっぱらったー!」
尻子玉を手にすることで、カパゾンビにされた人間の真の欲望(秘密)を垣間見ることができます。
一稀「そうか…。盗んだ箱を裸でかぶるのが好きだったんだ」
ちなみに、カパゾンビの声優は今のところ加藤諒さんが、すべて担当しているようです。
「ア」のモチーフの意味は?
さて、ここまでで劇中で示されてきた「さらざんまい」「尻子玉」という、ストーリー進行には欠かせない要素について見てきました。
ここからはこれらを踏まえ『さらざんまい』という作品の「世界観」について、見ていきましょう。
……と、その前に。
知っておかなければならないことがあります。
劇中で度々登場する「ア」について。
浅草の街に標識のように散りばめられていますが、『さらざんまい』にとって欠かさないキーワードを表しています。
ズバリ、「愛」です。
これについては、吾妻サラの「アサクササラテレビ」を見ることで「愛」だと断定できます。
左から順に、
- 心から「ア」を信じなさい
- 「ア」あっての自分
- 「ア」を自由にご覧ください
- 世界の中心で「ア」を叫ぶ(世界の中心で「ア」を叫んだけもの?)
4番目については、隠されていますが、有名な作品『世界の中心で愛を叫ぶ』か、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のサブタイトル「世界の中心でアイを叫んだけもの」のどちらかでしょう。
これで「ア」は「愛」と断定することができます。
ちなみに、エヴァのサブタイトルは、SF小説が元になっているようです。
世界の中心で愛を叫んだけもの (The Beast that Shouted Love at the Heart of the World) とは、ハーラン・エリスンによる短篇SF小説、及びそれを収録した短篇集である。
世界の中心で愛を叫んだけものとは (セカイノチュウシンデアイヲサケンダケモノとは) [単語記事] - ニコニコ大百科より引用
さらに、欲望フィールドに入ると「ア」の標識が裏返り「カワウソ」へと変わります。
現段階(第四皿)までですと、CMの後にこの演出が入ります。
これについては、玲央と真武の「欲望か、愛か」の台詞から「欲望」であると推察できます。
「愛」のように、明確に記されているわけではありませんが、欲望フィールドの標識がカワウソであるため、カワウソ=欲望の象徴と考えられます。
つまり、
- 「ア」の標識=「愛」の象徴
- 「カワウソ」の標識=「欲望」の象徴
ということができます。
標識の回転が「表と裏の世界の移り変わり」を暗示
問題はここから。
ケッピが欲望を消化すると、標識が裏返ります。
つまり、「欲望」から「愛」へと変わる。
これはカパゾンビが出現する「欲望フィールド」から、一稀たちの生きる通常の世界へと戻った、ということを暗示しています。
「欲望フィールド」については、第一皿にてケッピから次のように説明されています。
- 人の世の裏側。
- 人間には、この世界もカッパも見ることはできない。
- カッパとなった一稀たちは「生きていて、死んでいる」。
また、欲望フィールドを闊歩する人々は幽霊の姿をしていることから「死の世界」に近い空間、と見ることができます。
この空間を、認識できるのは、
- 「生きていて、死んでいる」カッパ
- カパゾンビ
- カパゾンビの手下である、シタッパーズ
- 死者(もしくは幽霊?)
- ケッピによって「ア」のシールを貼られた人間
です。
では、この「カパゾンビ」はどのように生み出されるのかというと…。
それが「カワウソイヤァ」なのです!
カワウソイヤァって結局、何?意味はあるの?
劇中歌「カワウソイヤァ」の背景ではカパゾンビが生成されています。
それでは、カパゾンビの製造過程を詳しくみていきましょう!(ソイヤァ!)
愉快なカパゾンビ製造方法
※画像は全て上記動画より引用したものです。
まず犯罪者の欲望を吸引(=搾取?)します。
そして、箱詰め。
箱(パッケージ)に欲望のモチーフである「カワウソ」を押印。
箱が落下し、水の中へと落ちていきます。
すると、システムが起動。
赤黒い煙?液体?を吹き出しつつ、ゾンビが生成されます。
顔がブクブクと泡立ち、心臓から帯状のものがウネウネと飛び出します。
最後に、真武の心臓を「ソイヤァ!」と取り出します。
欲望トルネード(仮称)にあるカパゾンビが、赤黒い水面へと沈み、「欲望フィールド」へと落ちていきます。
気になる点「目を開ける生命体は誰なのか?」
普通に、ケッピ?…かと思いきや、吾妻サラのマスコットにも似ています。
カワウソイヤァの後ろがケッピではなく、サラのマスコットだと思う理由。
— team解読 (@team_kaidoku) 2019年5月6日
①くちばしが書かれていない
②ケッピは瞳孔が赤くならない
③前髪が書かれてる?(加工した画像3枚目を参照)#さらざんまい#さらざんまい考察 pic.twitter.com/qFax4lkqy4
この辺については引き続き追っていきたいと思います。
【総括】表と裏、二つの世界が影響し合っている!
さて、ここまでで「二つの世界」があることに気づいたかと思います。
一つは、一稀たちの生きる「表の世界」。
ここではカッパやカパゾンビを見ることはできません。
そのため、一稀たちは「シタッパーズによる欲望の対象の運搬」によって、カパゾンビの存在を認識します。
他方、カパゾンビが出現するのが「裏の世界」です。
ここは「欲望フィールド」とも呼ばれています。
表と裏はそれぞれ標識(アイコン?)の切り替わりで表現されます。
一連の流れ(カパゾンビの製造〜さらざんまいまで)
ここで一度、一連の流れを整理してみましょう。
ややこしいため、図でまとめました。
※画像はさらざんまい各話より引用させていただいております。
こうしてみると『さらざんまい』は、とてつもなく情報量の多い作品です。
これらを淀みなく処理する幾原監督の情報処理能力に感動します。
現時点(第四皿まで放送)では、この流れは固定となっていましたが「欲望レベル」を押し上げる、という発言から、次回から何らかの変化があることが推測できます。
次の展開も楽しみですね。
それでは!